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不老不死の薬とは・・・?!@

<注意>今回は少し専門的な言葉を使ってしまいました。なるべくわかりやすく書いたつもりなのですが、僕の知識不足によりある程度生物を勉強した人でないと理解に苦しむ部分もあるかと思われます。でも、この分野は医学的にも非常に面白い分野なので是非読んでみてください。






人類は太古の昔から、不老不死を求めてきた。


秦の始皇帝は、東海の蓬来島に不死の仙薬があるという話を信じ、大勢からなる探索隊を派遣したがその帰りを待つ事なく他界してしまった。中国を発祥とする道教も、不老不死を目的とした修行を行ってきた。このように人類は不老不死を追い求めてきた。


しかし未だかつて、それを実証したものは居ないのである。




現在、遺伝子に関する研究がすすみ、この不老不死の薬ともいえるものが見つかりつつあるのだ。



まず明らかにしておかないといけないのは、人間にはどんなに頑張っても寿命があるということである。これはあらゆる病気や怪我を防いでも必ず老衰で死んでしまうということだ。



そして、その人間の寿命は科学的には124歳とされている。実際に、ギネスの最高年齢は122歳みたいなので、一応これにあてはまっているといえる。








ではこの124という数字はどうやってでてきたのだろうか?



その答えは細胞分裂にある。


一般的な細胞のイメージは、どんどん分裂していく、というものがあるだろう。たしかに細胞はどんどん分裂してその数を増やしたり、新しくなったりしている。


例えば、血液なんかはいい例である。

血液は血球成分と液体成分である血漿からなる。血球には赤血球とか白血球などが含まれる。この血球には寿命がある。赤血球などはだいたい120日で壊されてしまう。だからどんどん新しい細胞を作り続けているのである。




しかし、この無限と思われている細胞分裂には回数制限があることがわかったのである。つまり、細胞は決められた回数までしか分裂することができないというわけである。


その回数は細胞によって違うがおよそ80回といわれている。そしてヒトがその分裂の回数を使い切るのがだいたい124歳ということなのである。





おもしろいことに細胞の分裂回数が決まるのはちょうど手とか足ができる頃という話なので、もしかしたら手の平にある生命線とかも何かを暗示しているのかもしれない。








ところでどうして細胞は分裂の回数が決まっているのだろうか。


その答えがDNAにかくされていたのだ。


厳密に言うと、その中の『テロメア』という遺伝子がこの分裂回数に関係しているというのだ。





『テロメア』は DNA の両末端に必ず付いている六連の塩基の特殊配列、TTAGGGTTAGGGTTAGGG……の何百という繰り返しのことであり、この構造は DNA の安定化に働いている。


DNAは二本鎖構造を取っているが、それは何かの弾みで解れてしまったり、染色体の途中に傷が出来ると、そこが他の染色体と反応して結合してしまうことがある。『テロメア』はそれらを防いで DNA の形態維持に働いている。





さらにDNA 複製の際に複製開始点として必要とされるRNAプライマーにより DNA5'末端の一部が隠されて複製されずに短くなってしまうのを防いでいる。


ここの部分はわかりにくいのでもうちょっと詳しく説明しよう。DNA ポリメラーゼは5’→3’(DNAの端の名前・まぁ左端と右端と考えてOK)の方向にしかDNA を複製できないので、複製時には複製フォーク(複製をしている場所)に於いてラギング鎖(逆向きに複製する鎖)では不連続な断片が RNA プライマーを介して合成されるという経路を辿る。


だからその合成にはコピーする DNA よりも長い DNA 分子が必要とされる。これにより、染色体の末端では DNA の合成を始めようとする時に RNAプライマーが形成されず、複製の度に端の部分の DNA 末端が少しずつ失われて行き、その結果として DNA は複製される度に短くなっていくのである。


しかし、DNAの端に『テロメア』があるので、DNAの重要な部分は短くならなくてすむのである。




ここで言いたかったのは、この『テロメア』は細胞分裂時に必要なDNAが短くなるのを自らの身を削って防いでいるということである。だからこの『テロメア』構造がなくなった時に細胞分裂は規定回数に達してしまうのである。


実際、この『テロメア』構造は、DNAの端でループを作っている。だから、規定回数というのは『テロメア』が短くなりすぎてこのループが作れなくなった状態のことをいう。



するとここで一つの疑問が生じる。もし、すべての細胞の分裂の回数が決まっているのならば、単細胞生物とかはどうやって何億年も生き延びることができたのだろうか。


ここに今回のテーマである不老不死ということが関係してくるのである。もしこの規定回数を撤廃することができるのなら、ヒトの科学的な寿命はなくなってしまうのだ。



実はこの規定回数を撤廃できる夢のような薬?(物質)があるのである。それは『テロメアーゼ』である。





そう、単細胞生物など何億年も分裂を繰り返すことのできる生き物はこの『テロメアーゼ』を持っているのである。


『テロメアーゼ』という物質は、蛋白質性サブユニットと159 のヌクレオチドからなる RNA 分子から構成されている。このRNAにはテロメア配列の持つ繰り返し構造を作ることのできる配列が含まれている。


このRNA を鋳型として DNA を合成する、逆転写を行うことによってDNA を複製することでDNAを伸ばし、それが短くなって行く事を防いでいるのである。



不老不死の薬とは?Aにつづく





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